女性アイドル戦国時代が終わった3つの理由

2010年代は女性アイドル戦国時代だったといえよう。

しかし、2020年代に入り、女性アイドル戦国時代は幕を閉じた。

なぜ、女性アイドル戦国時代は終焉を迎えたのか。

 

①コロナ感染拡大による影響が凄まじかった

 2010年代に人気を博した女性アイドルグループのほとんどは秋元康がプロデュースしたグループであった。

 秋元康プロデュースグループの共通点は、握手券などの特典付きCDやアルバムの売り上げに依存している点である。

 コロナによって、秋元康プロデュースグループは握手会が開催できなくなり、大きなダメージを受けた。オンラインお話し会といった代替サービスで対応するも、実際に会える握手券に劣るものであり、コロナ前の売上を維持することはできなかった。

 また、握手券を多く売るためには、数十人規模のメンバーを抱え込む必要があった。大所帯グループという特徴も、大人数で集まり密を作らないというコロナ対策との相性が悪かった。

 さらに、握手会などの特典によってCDが売れてしまうことによる怠慢から、音楽性やパフォーマンスの完成度が軽視されていたという指摘もある。コロナによって、握手会などの特典がなくなったことにより、少人数でも音楽性やパフォーマンスの完成度が高いグループの相対的な価値が上がった。

 このように、握手会と人数の多さでCDを売り上げ「人気」とする手法が、コロナ禍において通用しなくなった。むしろ、握手会や人数の多さに依存し、その他の部分を疎かにしていたツケが回ってきたと言えよう。

 ここまで、秋元康グループの状況を述べたが、コロナが影を落としたのは秋元康グループだけではない。むしろ、事務所の大小に関わらず、地上アイドルグループから地下アイドルグループまで全てのアイドルがコロナによるダメージを受けた。公演やコンサートが開催できず、それに伴う物販の収益も得られないという致命傷は、全てのアイドルグループが負ったものだろう。

 アイドル戦国時代に生まれたグループが次々と解散し、女性アイドルグループの絶対的な数が減っていることからも、女性アイドル戦国時代の終焉を感じられる。

 

②世界的なガールズクラッシュの流れに乗れなかった

 世界的にはフェミニズムの後押しもあり、BLACK PINKに代表される女性が思わず恋に落ちてしまうような女性「ガールズクラッシュ」のグループが人気を博している。

 日本において、「ガールズクラッシュ」的なグループを作り出す試みはなかったわけではない。E-girlsやFairiesが日本産の「ガールズクラッシュ」的なグループと言えるだろう。しかし、日本においては「アーティスト」と分類されがちであった上、どちらのグループも日本音楽界の覇権を握るまでには至らず、解散してしまった。

 やはり、日本の女性アイドルの覇権を秋元康が握っていたことから、女性アイドルは「清純」というイメージが確固たるものとなった。

 乃木坂46のメンバーの清楚さやルックスに憧れる女性もいる。しかし、それは強く独立した女性像「ガールズクラッシュ」とは真逆の女性像であり、どちらかと言えば、か弱く男性の庇護欲を掻き立てるような女性像だろう。

 また平手友梨奈が率いた欅坂46や櫻坂46は「かっこいい」グループとして、坂道シリーズの中では一線を画している。しかし、彼女たちが主に歌うのは「大人・世間・権力者へのレジスタンス」である。他のグループと同様、ほとんどの歌詞の一人称は「僕」であり、いわゆるフェミニズム的な要素は感じにくい。

 現役メンバーの中では、AKB48岡田奈々が「ガールズクラッシュ」的なメンバーと言えるかもしれないが、知名度・人気共に彼女が日本のアイドル界の中心にいるとは考えにくい。

 このように、秋元康が得意としていた「僕」が「君」に恋をするストーリーを女性アイドルに歌わせる手法や、か弱さ・未熟さ・あどけなさを売りにするような手法が、世界的な「ガールズクラッシュ」の流行に伴い、前時代のものになった、あるいはガラパゴス化したと考えられる。

 

③男性ファンにファンダム文化が根付かなかった

 2010年代と2020年代ではアイドルの応援の仕方が変わったと言えよう。

 これには、コロナウイルスの影響、SNSの進化、K-POP式の応援の普及、人気を測る指標としてのビルボードの台頭など複数の理由があると考える。

 2010年代を象徴する女性アイドルの応援方法は「AKB総選挙」式の応援である。

 この応援方法は、投票券を買えば買うほど、そのアイドルの応援に繋がるという極めて分かりやすい応援方式である。単純比較はできないが、キャバクラやホストクラブのそれと限りなく似ていると言えるだろう。

 しかし、この応援方法には問題があった。それは経済的に余裕のある中年男性の応援が最も反映されやすく、経済的に余裕のない若年層や女性の応援が反映されにくいということである。

 これは、総選挙に限ったことではなく、円盤の売り上げ全てに共通して言えることで、若年層や女性は女性アイドルの応援において無力感を感じざるを得なかった。

 しかし、2020年代に入り、CDの売り上げという唯一の指標だけで人気を測ることが疑問視され始め、YouTubeの再生回数やストリーミングサービスでの再生など複数の観点から人気を測るビルボードでの順位が重視されるようになった。

 そのため、CDを買う以外にも、YouTubeを何度も再生する、Twitterでつぶやく、複数のサービスからデジタル音源を購入するなど様々な応援が可能となった。

 この応援方法の多様化によって、比較的時間に余裕のある若年層や女性たちの応援の力が強くなったといえる。これまで金にものを言わせてきた中年男性の応援の力が弱まったと考えられる。

 さらに、若年層や女性たちを中心にファンダムを形成し、組織的にSNSでのトレンド入りを目指したり、YouTubeの再生回数を回したりするようになった。世界で最も大きなBTSのファンダム、ARMYが典型例と言えるだろう。

 日本の女性アイドルにおいては、選挙対策本部や生誕委員のように、排他的なファン集団が作られたことがあるものの、全てのファンを包括するファンダムはなかなか作られなかった。AKB48乃木坂46においては、現在に至るまでファンの総称すら存在しない。

 このように、これまで中年男性の個別の応援に依存しており、老若男女の垣根を越えたファン同士による強い結束を持たなかった女性アイドルグループは、CDの売上は好調なものの、YouTubeの再生回数やストリーミングサービスでのランキングが伸び悩み、"実人気"が露呈することになった。

 

以上のことをまとめると、

・2010代に女性アイドル界の覇権を握った秋元康グループの手法が通用しなくなった

・しかし、コロナの影響により他のグループもダメージを受け、秋元康グループに代わる勢力が台頭してこない

・ダメージを受けにくかったのは、「会いに行けない」が前提で、握手イベントやコンサートでの収益に依存せず、音楽性やパフォーマンス性を極め、ファン同士の強い結束を持つK-POPグループだった

 

次回記事では、アイドル応援の担い手が経済的に余裕のある中年男性から、時間的に余裕のある若年層と女性に変わったことから、男性アイドル戦国時代が到来していることを取り上げます!

なぜ「ハーフ」のアイドルは人気投票に弱いのか?

 最初にお断りしておきますが、この記事を通して、外国にルーツのある方たちを差別する意図は一切ありません。ただし、ファン、アイドル文化、日本社会が持っているかもしれない潜在的な排他性について、アイドルグループにおける多様性について考えるために、事例を取り上げながら述べていきます。

 「ハーフ」という日本独自の呼称についても、当事者からも賛否の声が上がっていることを理解した上で、それでもなお外国にルーツを持つタレントが「ハーフ」として括られる現状を鑑み、この記事では「」付きで使用します。

 


男女問わず「ハーフ」のアイドルは人気投票に弱い?

 


 容姿端麗である(とメディアで表象されやすい)「ハーフ」の人は、人気アイドルになれるのでは?と思われる方も多いかもしれません。しかし、アイドルファンの方なら、「ハーフ」のアイドルが人気を得ることの難しさを体感的に理解していらっしゃるのではないでしょうか?


 そもそも「ハーフ」のアイドルの絶対数が少ないため、傾向と呼んでいいものか悩ましいですが、「ハーフ」のアイドルが人気投票の結果で伸び悩むという事例はいくつも見られます。


 例えば、48グループにはこれまで「ハーフ」のアイドルが何名か在籍していましたが、AKB48選抜総選挙において、ランクインできたメンバーはごくわずかで、そのメンバーであっても苦戦を強いられることが多くありました。


 女性アイドルに限ったことではありません。「PRODUCE 101 JAPAN」には、海外にルーツを持つ練習生が多数参加しましたが、「ハーフ」の練習生は軒並み苦戦を強いられます。

 

 これは日本に限ったことでもありません。韓国で放送された「PRODUCE 101」でも、(投票操作があったことを鑑みても)同じような傾向が見られます。


 なぜ、このような現象が起こるか、5つの理由が考えられます。

 


知名度と実人気に乖離があるから

 同質的なグループメンバーの中で、「ハーフ」の練習生は、その容姿(や名前)から、アイドルファンであるかに関わらず多くの人の目に留まります。

 容姿(や名前)だけでなく、その特殊な境遇などから、バラエティー番組をはじめ、幅広くメディアに取り上げられやすい傾向にもあります。

 以上のことから、「ハーフ」のアイドルは知名度や認知度を得やすいと言えます。

 知名度・認知度=人気と捉えることもできますし、そう捉えている人も多いと思われます。

 しかし、知名度がある、認知しているだけでは、投票という手間のかかる人気投票の結果には結びつきません。

 「ハーフ」のアイドルは、知名度や認知度は他のメンバーと比べて高い傾向にあるため、実人気より人気が高いように錯覚してしまい、実人気を反映している人気投票において順位が伸び悩んでいる印象を受ける可能性が考えられます。

 


②ファンの応援がなくても芸能界で仕事がしやすいため

 ファンが人気投票において推しを1つでも高い順位に上げようとする動機には、選抜入りさせたい、デビューさせたい、メディアにたくさん取り上げられてほしい、等といった願いが挙げられます。

 つまり、ファンがファンの力によって、推しの芸能界での活動や仕事(とりわけ外仕事)を獲得・保証しようとしていると言えます。

 しかし、「ハーフ」のメンバーは、ファンの力に依存せずとも、自身の容姿や境遇などによって、モデル仕事やバラエティー仕事などの外仕事の依頼を受けることができます。

 ファンは、人気投票において貴重な1票を投じる際に、芸能界において仕事に困りにくいメンバーと仕事に困り得るメンバーがいれば、後者を優先するでしょう。

 また、ファンがいなくても活躍できる「ハーフ」のアイドルはそもそもファンを獲得しにくいと考えられます。

 


③グループには必要だけど1番必要なメンバーとは考えられにくいため

 韓国において、多国籍アイドルグループが多数誕生しているように、日本においてもアイドルグループに国際性や多様性を求める機運があります。

 ここまで、「ハーフ」のアイドルが人気を得にくい、人気投票の結果で伸び悩みやすいと述べてきましたが、かといって、グループに必要ないと判断される訳ではありません。

 グローバルボーイズグループを作るというコンセプトを掲げた「PRODUCE 101 JAPAN Season 2」では、多くの「ハーフ」の練習生が参加しました。

 ファンがデビューしてほしい11人を選んだ(11pick)投票結果では、多くの「ハーフ」の練習生が上位にランクインしました。

 しかし、投票がデビューしてほしい2人を選ぶ方式(2pick)に変わると、多くの「ハーフ」の練習生が大きく順位を落としました。そして、デビューしてほしい1人を選ぶ投票方式(1pick)に変わった時に、「ハーフ」の練習生は全滅しました。

 このことから、「ハーフ」の練習生は、グローバルを演出する役割として、デビューするグループにはいてほしいけど、”一番”必要、”一番”好きなわけではないという判断を下されるため、”一番”を測る人気投票では伸び悩みやすいといえます?

 


容姿や境遇に親近感を覚えにくいため

 高嶺の花が人気者になるという側面もありますが、「投票」には親近感が必要と言えます。

 これは、アイドルの人気投票に限ったことではありません。

 政治家は、自身の高潔さや優秀さをアピールしながらも、駅前で演説し、道ゆく人と握手し、有権者との心理的な距離を縮めます。

 アイドルも投票してもらうためには、ファンに親しみをもってもらう必要がありますが、高嶺の花になってしまいやすい「ハーフ」のアイドルはそこに困難を抱えます。

 最も安直な例で言えば、「地元票」を得られないことが挙げられます。

 全国規模の投票イベントでは、地方出身のアイドルが有利になります。

 例えば、AKB48選抜総選挙で複数回1位に輝いた指原莉乃さんは、大分県出身で投票期間中も投票期間外も多くの大分県民から親しまれ、高い人気を誇っています。

 「地元票」のみならず、一般的な「日本人」が自身と重ねて応援できる要素が少ない「ハーフ」の練習生は、人気投票において票を集めにくいことが考えられます。

 


⑤アイドル文化がアジアの文化であるから人気が出にくい

 ここまで、あたかも「ハーフ」で人気になったアイドルはいないかのような口ぶりで話してきましたが、人気を獲得した「ハーフ」アイドルももちろん存在します。

 最近の例ですと、ミャンマーにルーツを持つ乃木坂46齋藤飛鳥さんが人気を博していますし、フィリピンにルーツを持つ元AKB48秋元才加さんは選抜総選挙で複数回の選抜入りを果たし、高い順位をキープし続けました。

 しかし、これまで人気を博してきた「ハーフ」アイドルの多くは、アジア(とりわけ東 / 東南アジア)にルーツを持つ「ハーフ」です。

 ただし、必ずアジアにルーツがあるかという血統主義的な考えよりも、(東)アジア的な容姿であることが条件のように思われます。

 元AKB48選抜総選挙で1位を獲得したことのある大島優子は、アメリカにルーツを持つ「クォーター」ですが、そのことを知らない方も多いでしょう。

 アイドルに多様性や個性が求められる機運がある一方で、アイドルの衣装、メイク、パフォーマンスなどが「似合う」ためには(東)アジア的な容姿が必要であるという条件はありそうです。

 日本の伝統芸能におけるメイクや衣装、振り付けが、一般的な「日本人」が美しく見えるように設計されているように、東アジアにおけるアイドル文化も、一般的な「(東)アジア人」が輝けるような設計になっている可能性があります。

 


最後に

 


ファンが多様にならない限り、アイドルは多様にならないのでは?

 


 「ハーフ」のアイドルが人気投票で苦戦する根源には、「ハーフ」を珍しいものとして重宝する芸能界があると考えられます。

 しかし、芸能界においてのみ「ハーフ」が珍しがられているわけではなく、日本社会にとっても未だ「ハーフ」が珍しいものとして認識されているため、それがメディアに反映されているとも考えられます。

 日本社会において、海外にルーツを持つ人々がいることが自然なことになり、ファンの中にも海外にルーツを持つ人々が増えたときにはじめて、芸能界においても「ハーフ」が珍しいものではなくなり、「ハーフ」のアイドルが「ハーフのアイドル」から卒業することができ、人気投票でも不利に働くことは減るのではないかと考えます。

JO1が変える?これからの日本の男性アイドル界隈(前編)

 2020年、日本の芸能界に颯爽と現れたJO1。日本における男性アイドルの歴史とはすなわち、ジャニーズの歴史…という時代が終わりを見せています。これからの日本の男性アイドル界隈がどのように変化していくか、予想、というか妄想します!前編では、なぜJO1が日本の男性アイドル界隈の今後を左右するまでになれたのか考察します。

 

【JO1が"許された"2つの理由】

 ジャニーズ事務所が、他事務所の男性アイドルグループやそれに類するグループに圧力を掛けているのは周知の事実です。

 それが顕著に現れたのは、2017年に放送されたフジテレビのバラエティー番組『めちゃ×2イケてるッ!』の「次世代イケメンだらけアイドル30人大運動会」という企画でした。この企画の原題は「ジャニーズ以外だらけの大運動会」でしたが名称が急遽変更、このタイトルがプリントされた小道具・大道具にボカシが入るという異例の事態となりました。ちなみに、女性版の企画のタイトルは当時圧倒的な人気を博していたAKB48以外だらけの大運動会でした。ジャニーズ事務所が何に腹を立てたのかはわかりかねますが、ジャニーズ以外の男性アイドルにスポットライトを当てたこと、AKB48という時の人気「グループ」と、日本の男性アイドル史を築き上げてきた「事務所」が同列に扱われたことなどが気に障ったのかもしれません。

 このように、ジャニーズ事務所は他の男性アイドルに圧力を掛け、メディアもそれに応じてきました。では、なぜJO1はジャニーズ事務所からの圧力を逃れ、メディアへの露出が可能だったのでしょうか?

 

①「吉本興業」という盲点

 男性アイドルに関しては、ジャニーズ事務所が大手かつ老舗で、スターダストをはじめとする他の大手事務所は太刀打ちできず、男性俳優ユニットなどと銘打ち事実上のアイドル活動をする他ありませんでした。

 しかし、ここで盲点だったのが吉本興業でした。吉本興業といえば、名だたるお笑い芸人を輩出した大手事務所ですが、まさか男性アイドルの運営に本格的に着手するとは誰も想像していませんでした。歌番組が減少し、バラエティー番組が増加する中、吉本興業の影響力は強くなっています。吉本興業が制作に携わる番組であっても、そうでなくても、吉本興業の芸人がMCを務め、ひな壇に呼ばれ、VTRにも登場する。つまり、少なからず今日のテレビ界においては、吉本興業の存在感はジャニーズ事務所の存在感を上回ります。そのため、ジャニーズ事務所吉本興業へ圧力をかけにくいといえます。

 このことを積極的に利用して、JO1は吉本興業が制作に携わる番組や吉本芸人がMCの番組などを中心に出演しています。(なお、JO1を輩出したオーディション番組の司会は、皮肉にも前述のジャニーズ以外だらけの大運動会で司会を務めたナインティナインでした。)

 未だにMUSIC STATIONをはじめとする音楽番組に出演できないといった問題はありますが、バラエティー番組に出演しやすいという環境は彼らにとっての強みと言えます。

 さらに、ソフトバンクGYAOYahoo!といった吉本興業や吉本芸人とゆかりのある大手スポンサーがついているため、バックアップ体制も十分にあると言えるでしょう。

 

②「K-POP」だよね…?

 これまでジャニーズ事務所が許してきた男性グループは2ジャンルあります。

 1つはLDH系列のグループです。彼らも実質的なアイドル活動を行なっていますが、アイドルではなくアーティストという姿勢を前面に打ち出し、ジャニーズからの圧力を回避してきました。

 もう1つはK-POPグループです。他国の事務所であり、音楽であるため、圧力がかけにくいという側面があります。また、今でこそジャニーズは世界展開に力を入れ始めK-POPを意識していますが、ジャニーズが絶対に守りたいのは日本での圧倒的な優位性です。日本での揺るぎない地位が守られるのであれば、多少韓国から自分の畑を荒らされにきても問題ないというスタンスなのでしょう。

 JO1のメンバーは全員日本人であるものの、JO1を輩出したオーディション番組の版権元は韓国であり、韓国のフォーマットを使ってデビューしたグループと言えます。デビュー後も、楽曲や振付、衣装やメイクに至るまで、韓国の要素が取り入れられています。一言で表すならば「日本のK-POP」でしょう。

 そのため、ジャニーズ事務所もJO1をK-POPグループとみなすかに困惑しているように見えます。NHKの「SONGS OF TOKYO」のホストを務める関ジャニ∞の村上信吾は、JO1をゲストに迎えた際に、JO1に対する明確な評価は避けながらも、「韓国の要素を取り入れ世界を目指しているグループ」として接しているように窺えました。この姿勢を取ることによって、純日本製かつ日本市場のトップはジャニーズであることを暗に示していたとも考えられます。

 

このように、吉本と韓国という敵に回しにくい/圧力をかけにくい2つを味方につけたJO1はジャニーズからの圧力を回避している/保留されているといえます。

JO1の存在感が増すにつれて、日本の男性アイドル界隈はどのように変化していくのでしょうか?続きは後編で!

木村花さん逝去に思う「テラスハウス」の問題点

 「テラスハウス」に出演されていた木村花さんが逝去された。ネット上での誹謗中傷が引き金となったのでは?と考えられる中、この記事では「テラスハウス」という番組の問題点や責任について考える。(もちろん、ネット上での誹謗中傷を肯定するものではない。)

 

「台本は一切ありません」の功罪

 リアリティ番組である「テラスハウス」にとって、「台本がないこと」が番組のアイデンティティである。確かに、一般的なドラマやバラエティ番組のように事前に用意された台本はないかもしれない。しかし、テレビ番組というフォーマットである以上、出演者たちの共同生活の様子は「テレビ的」に編集される。つまり、たとえ事前に用意された台本はなくとも、映像を構成・編集する段階で番組側が「テレビ的」なストーリーを作っているといえる。(もちろん、出演者側が能動的に「テレビ的」な絵、言動、行動を創り出している側面もある。)

 以上に述べたことを、多くの視聴者は気づいている。本来、「テラスハウス」は「ここ絶対、台本あるでしょ」「うわ〜、番組を面白くするためにあんなことしたりこんなことしたり必死だな〜」「テレビで映っていないところの方が面白そう」といったように、視聴者が俯瞰的な視点で番組を見たとしても、面白い構成になっている。これは、プロレスに台本があるか、八百長があるかに関わらず、プロレス観戦そのものは楽しめることに似ている。

 しかし、「テラスハウス」がプロレスと違うのは毎度「台本は一切ありません」と強調されることと、出演者に役が与えられていないことである。プロレスに台本や八百長があるかを議論することはナンセンスでありながらファンタジーである。しかし、「テラスハウス」ではこの番組は虚構ではなく現実なんだということを度々強調する。そのため、一部の視聴者は画面の中の出来事は現実の出来事と信じるため、その一挙一動に「マジレス」する(これが行きすぎると誹謗中傷に繋がる)。さらに、出演者には役が与えられていない。そのため、画面の中の出演者への誹謗中傷は、ダイレクトに現実世界へ生きる出演者への誹謗中傷に繋がる。仮に、今回亡くなってしまった木村花さんが、木村花としてではなく木村花役として出演していたら、画面の中の木村花(役の人)への誹謗中傷が現実世界に生きる木村花に結びつかなかったかもしれない。

 皮肉にも、木村花さんはヒール役も経験されているプロレスラーである。現実と虚構が入り混じっているにも関わらず「現実性」を過度に強調し、現実と虚構の切り替えが難しい「本人としての出演」を求める番組の演出が木村花さんを苦しめた可能性もある。

 番組側も、編集した映像は「現実に起きたこととしてもテレビ的に脚色していること」は強調すべきだと考える。また、視聴者も「テラスハウスはテレビ的に脚色されている、でも面白い」と「テラスハウス」の見方を変える必要があると考える。

 もちろん、木村花さんを苦しめた主たる要因はSNS上での誹謗中傷かもしれないが、現実を取り扱うテレビ番組の創り方、現実が取り扱われるテレビ番組の見方にも問題があるかもしれない。

もし総選挙で1位のメンバーが翌年の総選挙に参加していなかったら

前田敦子言い訳Maybe

大島優子ヘビーローテーション

柏木由紀フライングゲット

渡辺麻友ギンガムチェック

指原莉乃恋するフォーチュンクッキー

松井珠理奈心のプラカード

高橋みなみ・ハロウィンナイト

山本彩・LOVE TRIP/しあわせをわけなさい

宮脇咲良・#好きなんだ

須田亜香里・センチメンタルトレイン 

 

#ifの妄想

2020年 秋元康系18グループの注目メンバー

【48グループ系列】

AKB48 鈴木優香

・19年10月に颯爽と現れたスーパールーキー

・経験豊富のセミプロでルックスも洗練

・逸材でありながら地雷臭もあるジョーカー

SKE48 青海ひな乃

・SKE研究生の中ではトップクラスの人気

・48グループでは珍しいパリピ系キャラ

・古参メン・ファンの圧力に耐えられるか

NMB48 横野すみれ

・正規メンバーを凌ぐ人気の研究生

・あざとかわいい雰囲気が女性からも評価

・近日中の昇格と選抜入りは間違いなし

HKT48 村重杏奈

・指原の秘蔵っ子としてバラエティーに出演

・48Gのバラエティーメンとして活躍なるか

・宮脇がHKTに戻るまで在籍するかも注目

NGT48 本間日陽

・一連の騒動で無傷に近かった人気メンバー

サステナブルにNGT48から唯一の選抜入り

・この状況下での研究生の成長は考えにくい

STU48 清水紗良

石田千・今村らを輩出したASH出身

・審査は9位通過、2期生の中では人気メン

・選抜入りや2期生内のポジションに注目

IZ*ONE 宮脇咲良

・日本において最も知名度を誇るメンバー

・HKTに戻るか、韓国に残るか進路に注目

・場合によっては48G復活の救世主に?

 


【坂道系】

乃木坂46 遠藤さくら

・センターを継続的に務めるか

・1期の卒業が続く中、世代交代の一翼を担う

・「人気1期生メン並の知名度」を得られるか

欅坂46 松田里奈

・2期生の年長メンでありパフォメン

・欅坂では珍しくバラエティー適性もあり

・その明るさで欅坂の停滞感を払拭できるか

日向坂46 上村ひなの

・唯一の3期生メンバー

・安定の3列目センターから動きはあるか

・坂道研修生の動向によっては脱末っ子へ

吉本坂46 小寺真理

吉本坂46の正統派かつ人気メンバー

・吉本坂では唯一の坂道的ルックスを持つ

・REDに所属するもダンスの向上が課題か

坂道研修生 佐藤璃果

・高い人気を誇る中心メンバー

・ツアーではサイマジョのセンターを務める

・配属先や独立する場合のポジションに注目

 


【TWIN PLANET系】

ラストアイドル  西村歩乃果

・高い人気を持ちインフルエンサーでもある

・最も幅広く多くの外仕事のあるメンバー

・最年長であるため卒業の動向にも注目

春高校3年C組 黒田照龍

・男子の中で外仕事の多い数少ないメンバー

・女性ファン・若年層ファンを得られるか

・男子アイドル部の存在感を示せるか注目

 


声優アイドル系】

7/22 河瀬詩

・卒業した花川から齋藤ニコル役を継承

・オーデ開催せずに加入した珍しいメンバー

・初代メンやファンに受け入れられるか

ハイスクールチルドレン 富園力也

・フェミニンな雰囲気で最も人気なメンバー

・ドラマ出演など外仕事もあり

・本来冠アニメであったアニメに唯一出演

 


【その他】

劇団4ドル50セント 青木瞭

・人気2.5次元ミュージカルに出演

2.5次元俳優として名を轟かせられるか

・男子劇団員が激減する中、存在感を示せるか

サ・コインロッカーズ Emily

・外国にルーツを持つメンバー

・ボーイッシュで特徴的なルックスを持つ

・TCLのシンボル的存在になれるか

2019年 秋元康系18グループの活動評価

知名度・人気・活動状況などを総合的に考慮し、A+からC-の9段階評価。

今年の活動状況などを3行でまとめたが、あくまで個人の主観に基づいたもので、特定のグループやメンバーを貶める意図はない。

 


乃木坂46(A+)

・メディアへの露出は最も多く人気も高い

・坂道合同オーディションの逸材が活動開始

・人気メンバーの卒業で世代交代は進むか

日向坂46(A)

・紅白初出場、レコード大賞ノミネート

・乃木坂・欅坂との差別化に成功

・坂道バブルに背中を押されCD売上も好調

欅坂46(A)

・高い集客力を誇り東京ドーム公演を開催

・平手の不安定な状態と平手一強状態が継続

・選抜制を導入も不評、シングル発売延期に

AKB48(A-)

・NGT48の騒動の余波を受け自粛モード

・度重なる冠番組の終了やイベントの中止

・CD売り上げと海外グループの人気は安定

NMB48(B+)

・山本卒業後もCDリリースペースは落ちず

・若手メンバーの成長が目立つ

・Queentetなどユニット単位の活動が盛んに

STU48(B+)

・船上劇場が完成し船上公演が開始

・48G内で独自路線を歩みCDの売上も良好

・2期生加入により他48Gと同様の人数に

HKT48(B)

・中心メンバーの卒業、活動休止が相次ぐ

・新劇場にて指原書き下ろし公演が決定

・村重がHKT生え抜きメン初の事務所移籍

SKE48(B)

・松井の不安定な状態が継続

・若手人気メンバーの相次ぐ卒業

・須田や古畑という古参メンが初センターに

ラストアイドル(B-)

・Mステ出演などメディア露出は増える

・相次ぐ卒業によりユニットに欠員

・テレビ番組の放送時間が降格、企画も迷走

吉本坂46(B-)

・メンバーの中に闇営業による謹慎者はなし

・人気は低いがある程度の知名度を誇る

・よしもとの社員も2期生として参加か

7/22(C+)

・11名全員参加のシングルを初リリース

・先進的な取り組みを行うも世間に浸透せず

・アニメがテレビ放送されることが決定

ハイスクールチルドレン(C+)

・CDデビューも冠アニメへの出演は1名のみ

・アイドルグループ VOYZ BOYと兼任

・人気2.5次元ミュージカル等にも出演

春高校3年C組(C+)

・劇場公演で1万人動員を達成しCDデビュー

・表題曲は女子アイドル部のみで疑問の声

・個性重視を謳うも典型的アイドル化が進行

坂道研修生(C)

・坂道合同オーデ時代からのファンは待望

・ただし坂道Gファンからは門前払いの傾向

・新グループとしては人数・人気面が弱いか

劇団4ドル50セント(C-)

・中心メンバーを含む劇団員の相次ぐ脱退

・グループとしての活動が激減

・一部の劇団員は舞台やネット番組等に出演

ザ・コインロッカーズ(C-)

・CDデビューし表題曲はドラマの主題歌に

・くじや人気投票によるバンド編成に批判

・2期生を募集も該当者なし 1期生をリストラ

NGT48(C-)

山口真帆暴行騒動によるイメージの悪化

・スポンサーが撤退し一時活動休止状態に

・48Gの活動にねじ込み、やや強引な再出発

IZ*ONE(*)

・若年層・女性層・海外ファンからの支持

・不正投票発覚で、事実上の活動休止状態

・現在も根強いファンが復帰を待ち望む

 


A+ 乃木坂46

A   日向坂46 欅坂46

A- AKB48

 


B+ STU48 NMB48

B   HKT48 SKE48

B- ラストアイドル 吉本坂46

 


C+ 7/22 ハイチル 青春高

C   坂道研修生

C- 劇団$4.50 TCL NGT48

 


* IZ*ONE