大坂なおみに「漂白剤」発言のAマッソのぜひ見てほしいコント
大坂なおみに対して、差別的な発言をしたとして話題となっているAマッソ。
個人的には、彼女たちに黒人を蔑む強い思想や大坂なおみを意図的に傷つけようとする意図はなかったと推察する。
本人たちも謝罪の言葉の中で無知であったと述べているように、今回の発言はネタの文脈を顧みても、無知によるものが大きいと考えられる。
今回の騒動が起きる以前から、Aマッソの芸風は、芸人からも「尖っている」と評されているが、彼女たちの尖り方が良い方向へ向いているネタもある。
それは「進路」というコントだ。
このコントは二部構成になっている。
前半は、進路を決めかねている生徒に対して教師がその生徒に夢を尋ね、その生徒はラーメン屋になりたいという本心を吐露。教師はその夢を応援するといったものである。
しかし、教師は応援こそするものの、その生徒のラーメン屋へは行かないと言う。その理由は、「女が作ったラーメンは生理的に食べられない」というものであった。このことは「ラーメン屋さんといえば男」「ラーメンは男が作ったほうが美味しそう」というジェンダーに関するアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を示している。
他にも、コントの中で以下のようなジェンダーに関するアンコンシャス・バイアスを提起している。
※一部、意訳や個人の意見を含んでいるため、必ず上記の動画を参照のこと。
「(サッカーの)ワールドカップのチケットをもらって、なでしこジャパンの試合だったら騙されたと思う」
→ワールドカップといえば男性の試合を連想する
→サッカー(広義ではスポーツ)は男性のもので、男性が行った試合の方が面白い
「(髪の毛が鬱陶しいという理由ではなく何らかの思想をもって)ショートカットにしている女は嫌い」
→女性は髪が長いことがスタンダードであることの提示。
→フェミニストをはじめ、なんらかの思想を持つ女性はショートカットが多いということの提示。皮肉にも男性に寄せていることを暗喩か。
※なお、Aマッソは2名ともショートカットであるが、このコントではあえて教師側がウィッグを着用しロングヘアにしている。
「Aマッソは嫌い(自虐)。所詮、男性の真似事で「しばくぞ!」といっても握力がないから怖くない」
「最近、女芸人がいっぱいテレビに出て面白くなったと言われているけど、テンプレートが蔓延しているだけ。コツを掴んでやりやすくなっただけ。」
→女性より男性の方が面白い。
→女芸人はあくまで「女」芸人であり、お笑いの世界が男性中心に設計されていることの提示。
→男性中心のお笑いに適応できている「女」芸人だけが売れている。その者たちはテンプレートのように画一的。
以上のようなバイアスに対して、生徒側は「先生は考え方が古い」と訴えると、教師側は「古くて結構、これが世論じゃ!」と反論する。
このように、女性である彼女たちが、主に男性優勢の社会やトピックに関して、自虐的に語ることで、暗に問題提起をしている秀逸なコントである。
もちろん、このコントを見て不快に思う者もいるだろう。しかし、「女性スポーツにも男性スポーツと同等の環境を」「男性中心のお笑い界を変革して、女性でも活躍できるようにしよう!」などと直接的に訴えても正論であるがあまり、面白みがなく、広く人々に訴えかけられないのである。
これは、女性であり「女」芸人である彼女たちだからできるネタである。これを男性が女装して披露したら、女性蔑視として非難されただろう。
今回の騒動は、この立場が逆であったため問題だったのである。仮に、大坂なおみ自身が白人優勢の社会を改めて問題提起するといったような意図を持って、漂白剤が必要と発言した場合、誤解こそ招く可能性はあるものの、このような批判は受けなかったであろう。
ポリコレとお笑いの妥協点を見つけるという作業は、グローバル化する世界を生きる今日のコメディアンたちにとっての課題といえよう。
Aマッソの今回の発言は無知によってその尖り方が人を傷つけうるものになってしまったが、秀逸なコントにおいてはその尖り方がお笑い界、ひいては日本社会に風穴をあけうるものになっている。
Aマッソの今回の発言は批判されて当然だが、個人的には、これからもAマッソの2人には「良い尖り方」でコントを作り続けてほしいと願う。
ジャニー喜多川氏の死去でジャニーズが直面する5つの問題
⑴アイデンティティの喪失
⠀これまでデビューしたグループとメンバーの全てに共通する特徴は、ジャニー喜多川氏によってプロデュースされてきたということのみです。「ジャニーズらしさ」を考えたときに、かっこいい、中性的、低身長などを思い浮かべる人もいると思いますが、必ずしも全てのグループやメンバーに共通するものではなく、あくまで傾向であってジャニーズを包括するアイデンティティとしては不十分です。
⠀女性のアイドルグループでは、曲や制度によるアイデンティティがあります。例えば、48グループや坂道シリーズは秋元康作詞の楽曲を歌い、ハロプロのグループは全ての楽曲ではありませんが主につんく作曲の楽曲を歌ってきました。制度面では、48グループにおいては選挙、握手会、劇場公演などがあり、アイドルグループではありませんが、宝塚においては組制度、トップスター制度などがあります。ジャニーズにおいて、歌われる楽曲の作詞家や作曲家はグループによってまちまちです。唯一見られる制度としてジュニアからのデビューが挙げられますが、デビューの基準に明確な指標はなく、ジャニー喜多川氏の判断に強く依存している構造でした。
⠀このように、ジャニーズの象徴としてグループやメンバーを統べていたジャニー喜多川氏こそ、ジャニーズの唯一のアイデンティティでした。ジャニー喜多川氏がこの世を去った今、ジャニーズらしさとは何なのでしょうか?また、ジャニー喜多川氏を模倣する手法は果たして効果的なのでしょうか?
⑵人材確保の難化
⠀即ち、男子やその周辺の女性に「ジャニーズに入りたい」と思わせる求心力の低下です。もちろん、ジャニー喜多川氏の死去によって、ジャニーズの今後が危ぶまれる中、子どもの書類を送る保護者は減るでしょう。
⠀それだけでなく、SMAPや嵐といった国民的アイドルグループが第一線を退いたことも求心力の低下の一つです。
⠀ただでさえ少子化であるため、事務所に新規に入所を希望する絶対数の減少は免れません。
⠀また、ジャニーズが男性アイドル界を独占していた水面下で、LDHのアイドル的人気化やその他大手事務所の若手俳優を集めたダンス&ボーカルグループの登場、比較的圧力をかけにくい地方におけるご当地アイドルの誕生など、密かに非ジャニーズの男性タレントたちが準備を進めています。他にも、K-POPオーディションの日本上陸や秋元康の男性グループ、男女混合グループのプロデュースへの着手などが次々と見られています。現在、これらの男性グループは自らの防衛のためにアイドルグループと自称しませんが、圧力が緩和しアイドルグループを自称し始めたら一気に男性アイドル戦国時代の突入です。
⠀アイドルが多極化することは、男子やその周りの女子たちの憧れが多極化することでもあります。かっこいい男の子にジャニーズ受けてみなよ!という時代が終わりを告げ始めているのです。
⑶ジャニーズ内高齢化
⠀女性アイドルグループには、卒業という選択肢がありますが、ジャニーズにはありません。メンバーがグループを抜けるときは、望ましくない場合が多く、グループが解散や活動休止に至る場合も円満ではないことがあります。
⠀また、タレントらの発言から、ジャニーズの給与体系が年功序列であることがうかがえます。居座れば居座るほど、居心地が良い環境であることは間違いないはずです。したがって、稼ぎ時である若いタレントたちは大御所のタレントの養分になり続けなければならないのです。
⠀このように、ジャニーズ事務所は終身雇用や年功序列という日本型企業の典型的な特徴を持ち合わせていると言えます。ただでさえ、働き方改革で終身雇用や年功序列が見直されているにもかかわらず、従来の契約形態を続けていれば時代にそぐわない状態に陥ってしまうと考えます。
⑷インターネット展開への遅れ
⠀滝沢氏の采配によってジャニーズのインターネット解禁が急速にすすめられていますが、ここで指摘したいのはインターネット展開の初動が極めて遅かったことです。
⠀ついこの前まで、タレントの肖像権の保護のため、インターネットに画像や動画を掲載しないという頑固なこだわりを見せていました。そのこだわりから、ファンもインターネットはテレビより下位の場所と解釈するようになりました。そのため、望ましいニュースかと思われたインターネット解禁にも懐疑的な声が上がりました。
⠀さらに、インターネット解禁はジャニーズ内で最も序列が下位のジュニアたちから始まりました(一部のデビュー組メンバーを除く。)しかし、徐々にいわゆるデビュー組にもインターネット解禁の兆候が見られるようになりました。そこで、ファンたちはなぜジュニアがやっているようなことをデビュー組もやらなければいけないのかという意見も噴出しました。
⠀このように、本来は商機しかないインターネットをテレビよりも下位の場所と長い間位置付けてしまっていたことで、ファンもインターネット解禁のスピード感についていけていないということです。
⑸海外展開への遅れ
⠀YouTubeに動画を投稿するなど、ジュニアのユニットを中心に急速な海外展開を計画しているように伺えます。
⠀しかし、ジャニーズのグループは日本市場で売れることを目的に設計されているため、海外市場にそっくりそのまま輸出することは難しいと考えられます。
⠀海外受けする男性アイドルの答えを導き出したのは韓国です。韓国は日本よりも国内市場の縮小が切迫した問題であり、K-POPの海外市場開拓は急務でありました。ルックスやパフォーマンススキルをわかりやすく高め、ロー・コンテクストにすることで広く浅く親しまれるアイドルグループの解を導き出しました。
⠀一方、日本は国内市場が極めて大きく、海外展開の必要性があまりありませんでした。そのため、ジャニーズは日本の女性に狭く深く親しまれるグループを作り、現に日本国内での売り上げやコンサート動員は現在においても莫大です。しかし、人口減少やグローバル化から海外展開の必要性が増し、今になって動き始めたということです。
⠀AKB48の場合は、主に東南アジアにAKB48の楽曲やシステムを移した姉妹グループを作るという解を導き出しました。しかし、前述のようにジャニーズらしさやジャニーズ的制度が曖昧であるため、東南アジアにジャニーズを再現することは難しいと考えます。
⠀さらに、未完成な少年を愛でるように応援する感覚やパフォーマンススキルの低いメンバーを愛おしく思う感覚は、海外の人にはわかりにくい感覚です。
⠀海外受けするためにわかりやすくパフォーマンススキルやルックスを高め、ロー・コンテクストな仕上がりにするというK-POP路線を取るか、万人受けすることを望まず、これが日本で人気のアイドルだ!とブレずにハイ・コンテクストなまま海外へ輸出するか、2択が迫られていると言えます。
ラストアイドル「青春トレイン」選抜メンバー 15名が判明
【選抜メンバー】(15名)
○歌唱順⠀名前(グループ/ダンス評価)
①安田愛里(LL/B)
①長月翠(LL・CR/B)
①西村歩乃華(LC/B)
②山本愛梨(LC/B)
②小澤愛実(CR/B)
②栗田麻央(L2/A)
②松本ももな(CR/B)
③阿部菜々実(LL/A)
③米田みいな(2U/A)
③町田穂花(L2/A)
③岡村茉奈(2U/A)
④間島和奏(SS/A)
④鈴木遥夏(LL/A)
④畑美紗起(L2/A)
④籾山ひめり(SS/A)
【前作「大人サバイバー」との比較】
IN: 栗田,米田,町田,岡村,鈴木、籾山
OUT: 清原,篠田(卒業),石川(卒業),大森
【ダンス評価Aの非選抜メンバー】(5名)
GT: 相澤、池松
SS: 山田
L2: 田中
2U: 宇田川
【ダンス評価Bの非選抜メンバー】(10名)
GT: 朝日
LC: 中村、大森
SS: 清原
L2: 大場、山本
2U:岩間、木﨑、奥村、篠原
48グループを終わらせるのは「NGT48」ではなく「まとめサイト」
私がAKB48グループに惹かれた理由は、圧倒的な情報量でした。
何百人ものメンバーが365日、何かしらの形で情報を生んでいます。
今日も全国各地で劇場公演やイベントが開催されているはずです。
毎月のようにCDがリリースされ、楽曲の数は1000を優に超えています。
どんなに熱心なファンでも、すべての情報を追うことができません。
したがって、ファンは情報収集のためにまとめサイトを閲覧します。
まとめサイトとは、ネット掲示板における書き込みをまとめたもので、広告収入で利益を得ているアフィリエイトのサイトです。
ファンが自主的に運営しているもので、取り上げられる内容には偏りや誤りもありますが、
大手まとめサイトは一定以上のクオリティーの記事を毎日更新しているため、非公式ながらニュースサイトとしての役割を果たしています。
また、このまとめサイトは「入り口」の役割を果たすこともあります。
何かしらの機会でまとめサイトの記事にたどり着き、沼にはまるようにファンになっていくということもあります。
このように、まとめサイトは48グループの新規ファンの獲得や既存ファンの維持に一役を買っている存在です。
しかし、NGT48の騒動以降、すべての48関連のまとめサイトが連日、NGT48の話題を取り上げるようになりました。
もちろん、騒動から何ヶ月も経っているのに連日、何かしらの話題、いわゆる”燃料”が投下され続けている現状がおかしいのですが…
一部のサイトでは、扇動的なタイトルと内容を含むものや、事実かどうかわからないものを事実として紹介するものがあります。
しかし、まとめサイトの管理人の心理も容易に理解できます。
彼らはボランティアでまとめサイトを運営しているわけではなく、運営により収益を得ています。
したがって、より閲覧数を稼いで広告収入を得たいのです。
NGT48の一連の騒動は、AKB48グループではない層からの注目度が高いため、NGT48関連の記事のアクセス数が高いことは容易に予想がつきます。
しかし、これによって問題であるのは、NGT48以外の情報の伝達が行われなくなるということです。
もちろん、NGT48以外のグループの出来事をまとめるサイトもありますが、NGT48関連の記事の方が儲かるため記事にする必要はありません。
まとめサイトがNGT48一色になることで、NGT48はおろかほかのグループのファンが情報を得ることができず離れていき、もちろん新規ファンの獲得も見込めません。
48G関連のまとめサイトは基本的に以下のようになっています。
古参・大手まとめサイト
AKB48グループから坂道グループ、秋元康がプロデュースする他のグループから指原莉乃のプロデュースするまで幅広い話題をカバー。
広告収入を得ようとする傾向が強いため、48グループまとめと言いながら、注目度の高い坂道シリーズの話題を取り上げることがある。
グループ別まとめサイト
SKE48であればSKE48のまとめサイト、欅坂46であれば欅坂46のまとめサイトといったように、特定のグループの話題をカバー。
最近では、坂道シリーズをまとめるものや、あるグループのまとめサイトといいながら、他のグループの話題を取り上げるものもある。
影響力が強いのは前者です。
NGT48騒動を落ち着かせたり(風化してはいけませんが)、48グループで真面目に頑張っているメンバーが日の目を浴びるには、まとめサイトの正常化が必要であるといえます。
しかし、まとめサイトはボランティアではありませんので、ボランティアでまとめサイトを運営する有志ファンが現れるか、運営側が主導でニュースサイトを作る必要があるといえます。
運営側が作るニュースサイトは現実的ではありますが、まとめサイトのような世俗的なおもしろさを提供できるかが要です。
また、運営が推したいメンバーに関連する情報を取り上げるだけでなく、運営が干しているメンバーに関連する情報も取り上げなければなりません。
兎にも角にも、私自身、まとめサイトや掲示板がNGT騒動ばかりでうんざりです。
もちろん、風化してはいけないと思いますが、魅力的な情報に溢れる48グループに戻ってほしいと願っています。
【姉妹G】2TOPで振り返る各グループの歴史 後編
前田敦子と大島優子、指原莉乃と渡辺麻友の関係に代表されるように、AKB48グループはグループの顔となるメンバーが二項対立の関係になることが多い。
その二項対立は、運営によって仕組まれたものもある。しかし、運営の意図に反して思いもよらないメンバーがグループの顔に成り上がる場合もある。
この記事では、各48グループの2TOPの歴史を振り返る。ただし、この2TOPの変遷は、私の感覚に基づいたものである。
W松井、JRなどと呼ばれた松井珠理奈と松井玲奈は結成時からSKE48の人気1位2位を争うメンバーであった。
しばしば、若くて元気な松井珠理奈と大人っぽくお淑やかな松井玲奈の対立といったような描かれ方をした。
松井玲奈が卒業するまでこの2TOPの牙城が崩れることはなく、初期に3番手に位置していた高柳明音とは人気面で大きな差があった。
松井が卒業した後に、バラエティーでの活躍や握手会での努力で総選挙2位まで登りつめた須田亜香里が運営には押されていなかったものの、SKE48の2番手まで上り詰めた。
SKE48は結成時から現在に至るまで、松井珠理奈がずっと第一線にいるため、2TOPの変動や世代交代があまり見られない。
北川綾巴や宮前杏実のWセンター、後藤楽々のフロントメンバーへの大抜擢や、小畑優奈の単独センター、菅原茉椰のAKB48選抜への抜擢など、運営の努力は感じるものの、未だ松井珠理奈や須田亜香里といったベテランメンバーがグループの顔として活躍している。
さやみるきーとして親しまれている山本彩と渡辺美優紀は結成当時からNMB48の人気1位2位を争うメンバーであった。
しばしば、ボーイッシュでアーティスティックな山本彩とガーリーでアイドルらしい渡辺美優紀の対立といったような描かれ方をした。
渡辺美優紀が卒業するまでこの2TOPの牙城が崩れることはなく、初期に3番手に位置していた山田菜々とは人気面で大きな差があった。
(あくまで人気面に関しては、松井珠理奈と松井玲奈、少し差が開いて高柳明音といったSKE48の構造に似ていた。)
渡辺美優紀卒業後は、しばしば山本彩一強の状態が続いた。この状況に危機感を覚えた運営は山本のいないコンサートを開催するなど試行錯誤した。
渋谷凪咲のAKB48カップリングセンター抜擢や、白間美瑠と矢倉楓子のWセンター、須藤凜々花の単独センターなどを試みたものの、山本彩と対になるような人気のあるメンバーは生まれなかった。
しかし、運営には押されていなかったものの吉田朱里がYouTuberとして人気を博し、総選挙で選抜入りを果たした頃から、白間美瑠と吉田朱里の二項対立が生まれ、山本彩卒業後はこの2 TOPに移行した。
ただし、白間も吉田もともに1期生であり、SKE48と同様に世代交代が進んでいないことが窺える。
SKE48やNMB48では、人気の2TOPが結成時に自然発生したがHKT48ではそれが起こらなかった。
運営が選んだ2TOPは兒玉遥と松岡菜摘で、その雰囲気は松井珠理奈と松井玲奈に似ていた。HKT48の最初の劇場公演「手をつなぎながら」では、兒玉が珠理奈のポジション、松岡が玲奈のポジションを務めた。
当時、人気があったのは菅本裕子や宮脇咲良で、宮脇は第4回選抜総選挙でランクインを果たした。宮脇はその後、AKB48のシングル「UZA」の選抜に大抜擢されるも、HKT48内での序列が劇的に上がることはなかった。
通常、初のオリジナル曲はそのグループの1期生が務めることが多い。しかし、HKT48では1期生のセンターであった兒玉遥ではなく2期生の田島芽瑠がHKT48初のオリジナル曲「初恋バタフライ」のセンターに抜擢された。
その後しばらくの間、田島芽瑠がセンターを務めたが、兒玉遥との二項対立は見られず、二番手として安定したのは田島と同期の朝長美桜であった。
2ndシングル『メロンジュース』のジャケット撮影において、兒玉は田島の隣のWセンターの席に座った。兒玉自身も周囲のメンバーも、Wセンターとなれば田島と兒玉であろうと認識していたとみられる。しかし、スタッフからその席は朝長の席だと指摘されると、空気が張り詰めた。それほど、朝長が2番手の位置に入ることが想定外であったということである。
しかし、めるみおのセンターは3rdシングルまでで、その後は念願のセンターポジションを獲得した兒玉遥と人気面では結成時からトップクラスをキープしていた宮脇咲良の2TOP体制となった。
松岡はなというスーパールーキーが登場するも、この2TOP体制は崩れることがなかった。しかし、兒玉遥の度重なる休養や朝長美桜の怪我等、中心メンバーが第一線を退くこととなった。
2TOPを引き継ぐのは、兼ねてからなこみくとして人気のコンビであった3期生の矢吹奈子と田中美久かと思われたが、矢吹奈子がIZ*ONEに選任することが発表。さらに、宮脇も同グループに選任することが発表。そして、グループの要であった指原莉乃も卒業することが発表された。
この壊滅的な状況において、2TOP体制を引き継いだのは、矢吹という相棒を失ったものの活動中のメンバーの中で最も人気のある田中美久と兼ねてからシングルにおいて単独センターを複数回務めていた松岡はなであった。
ただし、この2TOPについては、指原莉乃ラストシングル『意志』のMVや指原莉乃卒業コンサートにおいて半ば強引に作られたものであるため、今後の流れを注視する必要がある。
このように、HKT48の2TOPの歴史が姉妹グループの中で最も動きがある。また、HKT48ははるさく、めるみお、なこみくといったように人気メンバーのセット売りをしていたこともあり、他のグループに見られる人気メンバー同士の対立があまり見られないことが特徴である。
○NGT48
NGT48もHKT48と同様に、人気2TOPが結成時に自然発生しなかった。
しかし、高倉萌香と加藤美南の関係は前田敦子と大島優子の関係に似ているといえる。高倉はショートカットで少し陰のある印象があり不器用な部分があるといったように、前田敦子との共通点が見られる。加藤は身体能力が高く明るく華があって器用であるといったように大島優子との共通点が見られる。
人気面、実力面共に高倉より加藤の方が上回っていたが、初のオリジナル曲『Maxとき315号』のセンターを務めたのは高倉萌香であった。絶対的センター高倉とそれを追う加藤という構図がデビューシングルでも続くと思われていた。
しかし、デビューシングルでセンターに抜擢されたのは、当時、握手会やSHOWROOMで圧倒的人気を博していた中井りかであった。
さらに、第9回選抜総選挙の速報で1位に輝き、最終順位も4位に輝いた荻野由佳が即座にグループの顔となった。
このように、長く続くと思われていた高倉と加藤の2TOPはデビュー前に終了し、荻野と中井の2TOPに移行した。
荻野と中井は、それぞれホリプロも太田プロに移籍し、NGT48他メンバーと比べて多くの外仕事をこなしている。
特に中井に関しては、スキャンダルの影響もあり、デビューシングルのセンターに抜擢された頃に比べて人気は下降しているが、持ち前のトークスキルでバラエティー番組で活躍しており、2TOPの座をキープしている。
STU48は結成されて、まだ歴史の浅いグループであるが、結成時から瀧野由美子を軸に据えている。
2番手には、瀧野と同じ山口県出身の岩田陽菜が定着していた。瀧野が高身長で年長メンバーでありながら初々しく不器用があるメンバーなのに対して、岩田は低身長で年少メンバーでありながらドラフト会議に出場していたこともありアイドルとしての実力を兼ね備えているメンバーという対比があった。
瀧野も岩田も人気の上位を争うメンバーであり、この2TOPに不満を示すファンは少なかった。
しかし、石田千穂の人気がみるみる上昇し、第10回選抜総選挙ではSTU48から瀧野と石田のみランクイン。石田はAKB48のスーパールーキー矢作萌夏がセンターを務める次世代メンバーによるユニット・Sucheeseにも抜擢され、STU48の2番手まで上り詰めた。
【AKB48/48G】2TOPで振り返る各グループの歴史 前編
前田敦子と大島優子、指原莉乃と渡辺麻友の関係に代表されるように、AKB48グループはグループの顔となるメンバーが二項対立の関係になることが多い。
その二項対立は、運営によって仕組まれたものもある。しかし、運営の意図に反して思いもよらないメンバーがグループの顔に成り上がる場合もある。
この記事では、各48グループの2TOPの歴史を振り返る。ただし、この2TOPの変遷は、私の感覚に基づいたものである。
○AKB48(48G)
初期の劇場公演やインディーズシングルの2TOPは、絶対的センター前田敦子と既にリーダーとしての素質を開花させていた高橋みなみであった。
その後、4thシングル『BINGO』・5thシングル『僕の太陽』あたりから、2番手が高橋みなみから小嶋陽菜へシフトしていった。
初の姉妹グループであるSKE48が結成され、SKE48のセンター・松井珠理奈が10thシングル『大声ダイヤモンド』のセンターを務めた頃、AKB48のセンターである前田敦子との二項対立が生まれた。
第1回総選挙以前のAKB48は、運営の推し出したいメンバーがそのまま2TOPとなりやすかった。また、センターという概念が今ほど確立されておらず、序列と歌唱順も曖昧であった。
しかし、第1回総選挙以降は、人気順=立ち位置=歌唱順というように序列が明確となった。第1回総選挙前までは序列の高かった小嶋も、第1回総選挙後は順位相当の序列に落ち着いた。
第1回選抜総選挙から第3回選抜総選挙まで、1位2位を争った前田敦子と大島優子の二項対立は、世間に「あっちゃんと優子どっち派?」という議論を巻き起こすほど大きなものであった。この2人の対立は、1期生と2期生の対立、チームAとチームKの対立でとあった。
さらに、陰陽、静と動の対立という解釈もできる。総選挙選抜の楽曲である17th『ヘビーローテション』22th『フライングゲット』の振り付けを務めた牧野アンナは前田が1位になった場合は周りを動かす振り付け、大島が1位になった場合には大島自身が動く振り付けといったように、2パターンの振り付けを用意していたという。
絶対的センター・前田のラストシングル26th『真夏のSounds good !』のMVにおいて、渡辺麻友が前田の後継者となるような演出があった。渡辺はチームBのセンターを務めてきたが、組閣により前田のいたチームAへ移籍した。
前田が卒業し、絶対的な二番手から絶対的な一番手となった大島優子と、それを追う渡辺麻友という二項対立の構図が、大島が卒業するまで続くかと思われたが、この予定調和を壊した者がいた。それが指原莉乃である。
その後、第6回選抜総選挙から第9回選抜総選挙は、柏木由紀がTOP2争いに食い込むこともあったが、基本的に正統派アイドル・渡辺麻友vs邪道アイドル・指原莉乃という構図となった。
当初は渡辺がベビーフェイス、指原がヒールのように扱れていた。しかし、徐々に渡辺がひとりアイドルを極める孤高の人物、指原が自らが育てた後輩(HKT48やSTU48)に慕われる偉大な人物といったように、リスペクトを持って描かれるようになった。
そして、第9回選抜総選挙をもって渡辺と指原が共に総選挙から引退し、二項対立は3位の松井珠理奈と4位の宮脇咲良に移行した。
「豆腐プロレス」では、宮脇咲良が主人公、松井珠理奈が最強の女子プロレスラーといったように描かれた。
2018年、第10回選抜総選挙とPRODUCE 48という大きなイベントが重なった。結果として、第10回選抜総選挙では松井が勝利し、宮脇は大穴の須田亜香里にも負ける大敗となった。しかし、松井は体調不良により芸能活動の休養を発表し、PRODUCE 48は宮脇咲良の一人勝ちとなった。
松井の休養と宮脇のIZ*ONE専任が重なり、この二項対立は思いのほか短命であった。しかし、松井珠理奈が日本国内のトップ、宮脇咲良が韓国、アジア、世界で活躍しているという日本vs世界といった二項対立が継続しているとも考えられる。
2019年、第11回選抜総選挙が開催されないことが発表された今、AKB48、および48グループにおいて、大きな二項対立は見られない。
強いて言えば、小栗有以と岡田奈々だろうか。ツインテールでガーリーな小栗と短髪でボーイッシュな岡田という見方もできるかもしれない。また、この2人の対立は、純AKB(*チームA〜4)vsチーム8との対立とも考えられなくもない。
しかし、スーパールーキー・矢作萌夏の登場もあり、新たな二項対立が生まれるか、はたまた三つ巴となるのか、予測ができない。
さらに、IZ*ONEや紅白出場も果たしたBNK48など、海外グループの勢いも無視できない。
今後、どのような2TOPが生まれるか注目して見ていきたい。